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12.12.05 Wednesday

750年前の免震構造

■風神雷神と聞いて最もよく思い浮かべられるのは、建仁寺が所蔵して

いる俵屋宗達の屏風画(国宝)かもしれません。絵ですので、もちろん

二次元。でもその構図には空間すら感じられます。

三次元の風神雷神がみたいな~と思われる方もおられるかもしれませ

ん。見れます。建仁寺から南下してちょっと東に行ったところにある三

十三間堂にて。見れます。

実はこちらの方が歴史は古いので、宗達もこの像に影響を受けたとす

る説もあるほどです。三次元版は湛慶が関わったとされています。偉大

な芸術家は偉大な芸術家にインスパイアされるのでしょう。

というわけで、本文をどうぞおたのしみください。

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■750年前の免震構造

先日の誕生日で厄年が明けた。めでたい。

厄明けの定義は色々あると思うが、私は個人の誕生日で厄明け

ということにしている。勝手に。

というわけで、厄除け祈願にお参りに行った三十三間堂にお礼

参りに行った。京都の東山七条に位置する三十三間堂。少し前

まで成人の日だった1月15日近辺で「通し矢」が催されることでも

有名な、あのお寺である。

なぜ数ある神社仏閣の中で、厄除け祈願にこのお寺を選んだのか?

理由は至って明確にして欲深い。

三十三間堂には1001体もの千手観音像がまつられている。 しかも

両脇には風神さんと雷神さんが。さらには二十八部衆と称される様

々な神様までズラッと勢揃いされている。即ち、1001体×1000本の

手や、ありとあらゆる神様のご加護のもと、無事厄を払っていただける

だろうという、なんとも信仰心とは裏腹な欲深い想いによって選ばせて

いただいた次第である。その甲斐あって、無事元気で前厄、本厄、後

厄を乗越えることが出来た。感謝である。故にお礼参りである。

しかしいつ訪れても、素晴らしい。とりわけ朝に訪れることをおすすめ

する。なぜなら、1001体の観音像は全て東を向いておられるから、

朝日を浴びる朝が、より神々しく荘厳に見えるのである。

そしてその1001体もの観音像が納まっているお堂自体もド迫力である。

南北に120m。奥行き22m。高さ16mの細長ーい建物。まさにシンプル

な建物。これ以上足せない。これ以上引けない。といった感じ。

初代のお堂は1249年の火事により消失したものの、1266年に再建さ

れのが現存するお堂である。ざっと今から750年前の建造物が現役で

建っていることになる。

京都は地震が少ないと思われている方も多いと思う。しかし京都府内に

被害をもたらした地震履歴を列挙すると、827年。887年。938年。976年。

1185年。1317年。1449年。1596年。1662年。1830年。1891年。

1925年。1927年。1952年。そして1995年の阪神淡路大震災。

とりわけ、1596年の慶長伏見地震は伏見城天守閣が大破するほど京

都市内に甚大な被害をもたらしたとされる。また、1185年の大地震は

鴨長明が方丈記にも記載している。なので、京都市に限って言えば単

純に400年周期程度で大震災に見舞われている。とも言える。

前回が1596年。なんともいや~な感じである。そんないや~な話しは

ともかくとして、1266年に再建された三十三間堂。1596年の大震災

をくぐり抜けていることが分かる。

創建以前にも同等の大きな建造物はあったとされている。しかしその

多くは地震や火事で失われたという経験があった。そこで知恵を絞った

当時の大工さん達。何をしたか?

お堂を巡ると、最後の方にその答えが展示されている。柱と柱の間を

二本の梁で繋ぐ「二重虹梁(にじゅうこうりょう)」とすることで骨格を頑

丈にしたり、柱と梁の接合部を甘く(緩く)することで地震による揺れを

吸収する仕組みとしたり、柱間の壁は土壁でなく、羽目板を落とし込

むことで、揺れに追従しやすくしたり、と色々な工夫がなされている。

そして私が最も驚いたのは、基礎地盤自体を砂と粘土を層状に積み

上げていき、周囲の地盤と縁を切りつつ、その層が振動を吸収する

「免震構造」になっているということである。実に750年もの昔から存在

していた免震構造。これには脱帽した次第である。建物に限らず、長

持ちするというのは、その裏に様々な創意工夫が施されているのだと

実感した。恐らく100年後にも同じ姿で、そこに存在していることだろう。

いや、存在していて欲しい。

さて、そんなお礼参りに妻や子供達も付き合ってくれたので、さぞかし

つまらないだろうと思い、西へ一直線。程近い京都水族館に初めて行

ってきた。

こちらの建物も現代のテクノロジー満載である。そしてなにより単純に

楽しかった。

遠くに、現存する日本最古にして最大の五重塔「東寺」を眺め、その

前を日本最速の電車「新幹線」が行き交い、間近にはイルカが飛び

跳ねるのを見る。。

東寺と新幹線とイルカ。イルカ?!である。その光景は「ありえない」。

といった印象。

築750年のお寺。築1年未満の水族館。不思議だが、築750年の方が

この先の寿命も長いような気がした。そんなお礼参りの一日であった。

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■編集後記

湛慶が活躍したのが、西暦1200年前後。宗達が活躍したのが1600

年前後。これまた400年の時を経て、芸術的な意志のやりとりが成され

たようです。400年後の未来に残る何かが、今どこかで創出されている

かもしれません。いや、知りませんが。

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我が家の地震グッズ、賞味期限切れ続出です。

点検はこまめに。

コラム | by muranishi | comments(0)

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