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12.04.13 Friday

ある建築家の言葉(16)

■京都の桜も満開を迎えています。春です。

 家の近くに琵琶湖疎水があり、疎水沿いには桜並木があり、

 最近では疎水を十石舟が春から初夏に掛けて運行するように

 なりました。いつも疎水沿いの道から行き交う舟に手を振って

 いるだけなのですが、子供たちが「のりたいー!」と言うもの

 ですから、重い腰をあげて先日夜桜見物ついでに舟乗場まで
 
 自転車で行きました。当日券完売でした。。

 こうなりますと人間乗りたくなるのが心情です。

 日を改めまして、妻に早めにチケットを購入しに行ってもらう

 ようにしました。当日券完売でした。。。

 まだ、乗れていません・・。桜。散りそうです・・。

 そんな前フリとは全く関係のないお話しですが、どうぞおたの

 しみください。
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■ある建築家の言葉(16)

 滅茶苦茶久しぶりに書いてみる「ある建築家の言葉」シリーズ。
 その16である。因みに、その15は2010年の10月に書
 いていた。伊東豊雄氏の言葉だった。

 今回はミース・ファン・デル・ローエ氏。つい先日のグーグル
 表紙に誕生日で紹介されていた、あのミース氏。

 建築関係者なら200%知っている建築家だが、一般の方(日
 本人)の認知率は10%に満たないかもしれない。そんなミー
 ス氏。(どんなだ?)

 知らない方のために、ざっと紹介しておく。ミース氏はコルビ
 ジェ氏、フランクロイド・ライト氏と共に近代建築の三大巨匠
 と称される。

 あ、これではコルビジェやライトの説明も加えていく厄介な展
 開になりそうなので、気を取り直して最初から。。

 ミース氏は、ドイツ生まれ。石工である父のもとに生まれた。
 大学で正式な建築教育を受けることなく、地元の職業訓練学校
 で製図工の教育を受けた後、リスクドルフの建築調査部で漆喰
 装飾のデザイナーとして勤務。

 と、ここまでWikipediaよりの抜粋概略。大学で建築教育を受
 けていないところは安藤忠雄氏を彷彿させる。

 その後、設計事務所を転々とし建築設計の実務に携わる。

 独立後、1929年のバルセロナ万博でドイツ館「バルセロナ
 パビリオン」を設計。鉄とガラスで出来たその建築物は非常に
 有名。若干ではあるが、私達が設計した現在姫路で工事中の住
 宅に似ているところがある。あつかましいが、偶然である。姫
 路の住宅は木造。

 で、ミースと言えば「ファンズワース邸」。勿論シーグラムビ
 ルなどの超高層ビルも設計されているが、シンプルの極みとも
 言えるファンズワース邸はミースの代名詞的存在とも言える。
 (あくまでも個人的見解として)

 そんなミースの言葉で有名なのは“Less is more”(より少
 ないことは、より豊かなこと)。空間の構成要素を極限まで削
 ぎ落としていくことで得られる豊かさを目指す感じ。

 でも今回ご紹介するのはその言葉ではない。

 その言葉とは「建築の共通言語を作り出さなければならない」。
 という一節。

 解説(含独自解釈)を加えていく。

 言語、言葉というのは、同じ言語を使う集団であれば誰もが理
 解出来る伝達手段である。日本人であれば、ほぼ例外なく日本
 語が理解出来るし、使うことも出来る。日本ではこれが共通言
 語。そして恐らく世界の共通言語は英語。

 誰もが使える共通言語ではあるけれども、その言語をより上手
 く使える人は、文学作家になったり詩人になったり出来る。誰
 もが理解出来る同じ言葉を使いながらも、その文字の配列一つ
 で優れた物語を生み出したり、感動を与える詩歌を紡ぎ出した
 りする。それは共通言語があるから出来る行為である。言葉の
 羅列により全く異なる価値を生み出すのではない。「椅子」と
 いう文字は、イメージするカタチは様々あるにせよ「いす」を
 表している。それ以上でもそれ以下でもない。

 曰く、楽器(音楽)も同様。ピアノという装置(共通言語)を
 持っていても、習ったことのない人が弾くのとプロのピアニス
 トが弾くのとでは雲泥の差がある。

 ミースは、同じ共通言語を持つこと自体が重要なのだと言う。

 それを上手に使えばプロだし、あまり上手く使えなければアマ
 チュアなのだろう。

 でも「建築にはまだ、共通言語がない。」とミースはいう。こ
 れは1964年時点、今から半世紀ほど前の話しだが。

 建築の共通言語ってなんだろう。

 さらにミースは言う。「もし共通言語を持つことができたなら、
 (誰もが)自分達の気に入ったものを作れるようになる」と。

 ハードルは高そうである。

 ミースが目指していた到達地点は、フランクロイドライトのよ
 うな一人の天才が圧倒的な空想力/想像力によって創り出す空
 間ではなく、第三者でも使える共通言語ということなのだと思
 う。

 一人の天才が生み出す建築空間ではなく、誰もが利用出来る設
 計手法(即ち共通言語)によって創造できる建築空間。

 ハードルが高すぎて到底到達できそうにない気がしないではな
 いが、恐らく言わんとしていることはそういうことなのだと思
 う。

 ミースは設計を始めるとき、フォルム(カタチ)から考えはじ
 めることはない。と言っている。これは日本の現代建築家、内
 藤廣氏も同様のことを言っている。恐らく探せば他の巨匠も言
 っていることかもしれない。

 きっとその真意は「カタチは共通言語ではない」ということな
 のだろう。

 内藤廣氏曰く、カタチなんて設計者がたまたまその瞬間に辿り
 ついた結果であって意味はない。それよりも時間に風化しない
 「真意」を建築に埋め込む必要がある。というようなことを言
 っている。(かなり独自解釈が強いが)

 奥が深すぎてまるで見えないが、総括すると、設計のプロセス
 が第三者にも分かりやすい空間こそが、残っていく。というこ
 となのだろう。カタチ(物体)は残らずとも、思想は残すこと
 ができるのだろうから。

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■編集後記

 春の季節の我が事務所の風物詩。それは色んな鳥や虫たちが

 事務所内に乱入してくることです。

 この春一番の訪問者は、でっかいアブとちっちゃいアブでした。

 しかも今朝。すぐ近くで「ブーン」という羽音が!やばい!

 スズメ蜂か?!と思って振り向きますと、窓際にアブ2匹。

 窓を開けて逃がしてあげました。

 アブでよかった~と思っている自分に、そもそも鳥や虫が

 入ること自体がおかしいんやぞ。と諭している自分がいました。

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 羽音で何の虫か分かるようになりたい。
 いや、なりたくない。

コラム | by muranishi | comments(0)

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