空間工房 一級建築事務所

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11.12.05 Monday

空想的な建築のはなし~その3~

■「世界一」でgoogle検索を掛けますと、検索候補としまして

 「世界一怖い心霊写真」というものが出て参りました。

 ただでさえ怖がりなので、怖いものみたさで見る勇気などは

 毛頭なく、目的の検索ワードを引き続き入れたわけです。

 が、どなたか勇気のある方は試しにご覧ください。

 あ、結果の報告とかは一切不要ですので!

 さて、なぜ「世界一」などという検索ワードを打ったのかは

 本文をご覧いただければ判明いたします。

 ということで、どうぞおたのしみください。
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■視点-206 空想的な建築のはなし~その3~

 ようやく空想的な建築のはなしである。

 前置きは一切なしにして話しを進める。

 限られた土地に皆が集まって住もうとしたら、縦方向に伸びる
 しかない。即ち高層化である。高層化を避けたいなら、土地を
 広げるか、人が分散して住む以外に解決方法はない。

 かくして、過密化した都市風景は高層建築物が雨後の筍の如く
 ニョキニョキと建てられた。

 別に高層化自体が目的だったわけではなく、必要に迫られて高
 層化せざるを得なかった。というのが実情。かもしれない。

 これらは半世紀ほど前の建築家がこぞって描いた未来像である。
 
 そしてそれが今では現実のものとなっている。

 土地を広げるべく、ある人は海上都市構想を打ちたて、人が分
 散して住むべく、ある人は農村都市構想を打ちたてた。

 これもまた、半世紀ほど前の建築家が描いた未来像である。

 しかし、それは現実のものとはなっていない。理由は以下の
 3つのうち、いずれかが欠けていたからだと思う。

 人口の増加。経済の成長。技術の発展。

 そのどれが欠けても、高層化はあり得なかったと思う。

 そもそも人口が極端に集中しなければ、高層化の必要性は生じ
 ない。社会的需要がないものを建てる人はいない。

 そして経済の成長がなければ、建設資金を確保出来ないのだか
 ら、経済的に建てたくても建てられない。

 さらに、高層建造物の図面をいくら描けたところで、それを実
 現化させるための建設技術、材料、工事機器などがなければ、
 物理的に建てられない。

 人が空を飛びたいと思ったように、高い建物は昔から誰もが要
 求していたのかもしれない。

 縦方向の移動手段であるエレベーターという便利な乗り物の発
 明がそこには絶対に必要だっただろうし、それを動かす電気と
 いった動力/エネルギーも絶対に必要だったと思う。

 水道を上空まで上げるポンプや配管技術だって欠かせないし、
 地震や風力に抵抗するだけの構造技術だって欠かせない。上に
 伸びると言うことは即ち、それだけ深い基礎が必要になるのだ
 から、地中深くまで掘削する技術・工事機械だって欠かせない。

 そんなこんなを考えると、高層建築物は紛れもなく現代建築技
 術の極限状態の一つであると言えるだろう。

 それでは、ここが人類の限界か?と問われれば、誰も分からな
 い。あとは上にどれだけ伸びることが可能かを競うだけだとし
 たら、それはそれでつまらない。いや、つまらないわけではな
 いのだけれど、未来の射程距離が短いような気がする。あくま
 でも個人的に。

 因みに現在世界一高い建築物は、地上828m。SOMが設計
 したドバイのブルジュ・ハリファ。世界のトップ10ランキン
 グのうち、実に3つがSOMの設計。ま、どうでもよい情報か
 もしれないが・・。

 そりゃ、地上1000mとか、3000mとかが出来たなら、
 それはそれで凄いことなんだと思う。ただ、それが人類の幸せ
 かと考えると、なんとなく違う気がするのである。

 僕が空想するのは、樹木の葉っぱのように「家」がぶら下がっ
 ている光景。重力をまともに受ける今の技術では樹木の径は恐
 ろしく太くなるんだろうけど。。。

 もし重力の部分的な無力化若しくは軽減化ができるとすれば、
 トムソーヤのようなツリーハウスをもっと「家化」させること
 も可能な気がする。

 家と家は枝的なもので結ばれ、それらの集合体は林や森のよう
 なイメージ。緑自体は人工的な自然ではなく、あくまで本物の
 自然。温暖化を抑圧するためには自然の力を借りるしかないよ
 うな気がする。

 地上から少々軽やかに離れ、樹木のようにまんべんなく日照を
 獲得する感じ。各々独立しつつも、集合して住む感じ。コミュ
 ニティを大切にする感じ。複雑なようでいて、自然界に存在す
 るであろう一定の法則に従って構造化する感じ。

 あまりに高くなるのは違う気がするので、高くせざるを得ない
 場合は、地面をすり鉢状に掘っていき、一番低いところに一番
 高い樹木を植えるように家を建てる。というか吊るす。という
 か、家々をぶら下げる感じ。

 道路からみえる風景は一定の高さを保ち、どこまでも空が広が
 っているイメージ。

 窓から見える風景は主に「緑」。道路から見える風景も主に「
 緑」。なイメージ。

 それは
 1.自然派でも人工派でもない感じ
 2.複雑系であり且つシンプル系である感じ
 3.高層派でもなく低層派でもない感じ
 4.独立系を保ちつつ集合系な感じ
 5.空中系でもあり地中系でもある感じ。 

 この地上で何千年、何万年と存在し続けてきた風景/シェルタ
 ーは、建物ではなく、山々や大地や海であることは間違いない。
 だからと言って単純に自然に還るような建築が良いわけでもな
 いし、洞窟に住めば良いわけでもない。と思っている。

 しかし、山々をデザイン出来ないように、建築をデザイン出来
 ない領域にまで持っていくことが出来れば、それはもの凄いこ
 とだと思うのである。個人的に。

 果たしてそんなことが可能か?と問われば、今は不可能。とし
 か言えない。自然と限りなく融合するようなデザインのありか
 たが都市に出現したとき、きっと人類は幸せになれる。そんな
 気が、今はしている。
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■編集後記

 昔から「借景」という言葉がありますように、自然の山々や
 
 風景を建物の内部に取込むという取組みは色々な寺や離宮など

 で成されています。

 私が最も好きな「借景」の一つに、正伝寺の庭があります。

 比叡山や東山を借景として、満月を見るのは鳥肌が立つくらい

 キレイで幻想的で荘厳な感じがします。

 まあ、満月というくらいですから夜に行くわけですが、麓の

 駐車場に置いてお寺まで行かれる場合はご注意ください。

 明らかに「何か」が出てきそうな雰囲気満載ですので・・。

 ちなみに正伝寺の縁側の天井は、血天井です・・。伏見城の。

 コワッ!
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 そっち系の空想は苦手です。
 苦手なのに得意です。

コラム | by muranishi | comments(0)

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