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11.10.28 Friday

300立米の家

■設計には「予算」「土地」「法規」という3つの大きな制約

 があります。普段はそれらの制約のもと、そしてお施主様の

 ご要望を鑑みつつ、様々な可能性を求めて設計活動に勤しん

 でおります。

 でももし、それらの制約が皆無だったら。。

 何をテーマに。何を根拠に。何を拠り所に。設計を進めるの

 でしょうか?それは、設計者が日頃考えていることを如実に

 表すのかもしれません。

 今回は、この前フト思ったことから少し。
  
 それではどうぞおたのしみください。

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■300立米の家

 このあいだ、久しぶりに新名神を名古屋方面に向かって走って
 いた。勿論、車で。

 走ったことのある方なら容易に想像がつくと思うが、この高速
 道路から見える風景は、ほぼ「山」のみ。9割程度山の間か、
 若しくは山の中、即ちトンネルを走る。

 そんな風景を見ながら、フト思った。

 最初に建築が建つということは、どういうことか?と。

 唐突である。

 唐突であるが、思ってしまったのは仕方がない。ので、話しを
 進める。

 何もないところに最初に建築が建つとはどういうことか。

 自由きままに建てても、近隣から苦情がくるわけでもなく(と
 いうか、そもそも近隣がなく)、多分どんな建て方をしても採
 光や通風は充分に確保出来、予算さえ許せば恐らく何でも出来
 る。

 そんな状態。

 そんな状態下にあって、望む望まないに関わらず、意図する意
 図しないに関わらずやってしまうこと。恐らく全ての建築がや
 ってしまうこと。それは「風景を切取る」という行為ではない
 だろうか?

 窓がついた瞬間。それが採光のためだろうと、通風のためだろ
 うと、風景は切取られる。切取られてしまう。

 ならば、全ての窓を意図的に風景のためだけに設けるとしたら、
 どんな空間が出来るだろうか?と考えてみた。

 一つの素晴らしい景色があるとする。富士山でも良い。海岸線
 でも良い。夜景でも良いだろう。

 その景色に向かって、ドーンと大きく開口を取るのも良い。横
 長にパノラマで切取るのも良いかもしれない。

 しかし切取り方によって、同じ風景でも違う印象を持つかも知
 れない。つまり、見せ方。

 例えば、二条城の二の丸庭園。大広間からは切り立った岩が林
 立するように見えるが、黒書院からは同じ岩が平らに穏やかに
 見える。同じ庭を90°角度を振って見せることで、印象を変
 えている。

 例えば、大原の宝泉院。近くの竹林と遠くの山並みを見事に切
 り取って、額縁に納めた絵画の如く見せている。

 例えば、鷹ヶ峰の源光庵。「悟りの窓」と呼ばれる丸窓と「迷
 いの窓」と呼ばれる角窓が、庭の風景・樹木を切り取っている。

 ただ、いずれも同じ風景を同じ方向で切り取っているわけでは
 なく、見える角度が違っていたりする。

 では、同じ風景を同じ方向で同じ空間から見ているにも関わら
 ず、違う印象を与えることは出来ないだろうか?と考えた。

 さらに、デジタル的に遷移するのではなく、常に繋がりを持ち
 ながらアナログ的に風景の変化を楽しむことは出来ないだろう
 か?と。

 そんな住宅案を、伊丹空港のアクタスで明日10月29日~1
 1月23日まで展示する。

 展示は「京都2111」のメンバー7組によるもの。「京都2
 111」の第三弾である。

 テーマは「300立米の家」。一般的な住宅の延べ床面積と考
 えられる35坪程度の広さを、容積換算すると概ね300立米
 になる。

 同じ「面積」という縛りではなく、同じ「容積」という縛りに
 することで出てくるカタチは様々。広さを空間という視点から
 捉えるとどうなるか?

 各メンバーが何を考えて提案してくるかは、まだ全く分からな
 い。分かっているのは容積だけ。

 どんな案が出揃うのか、当事者ながら楽しみである。

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■編集後記

 単純に、住宅には何が必要なのか?という根本的なことまで

 考えてしまいました。キッチン・トイレ・お風呂はワンルーム

 マンションでも、ほぼ必ず揃っています。まあ、私が大学時代

 下宿していた部屋には、トイレもお風呂もありませんでしたが。

 ちなみにキッチンは有りましたが、幅90cm程度でしたし、

 コンロは自分で準備するシステムでした。

 あれは住宅と呼べるのか?呼べないとしたら、私は一体何処に、

 なんという空間名に住んでいたのでしょうか?
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 住宅のある風景。

 風景のある住宅。

コラム | by muranishi | comments(0)

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