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11.10.06 Thursday

二つの数字

■とある京都の知り合いが、イタリアに行ってイタリア人から言
 
 われた言葉。
 
 「え?!京都から来たの?なんでワザワザ、イタリアなんかに

 くるわけ?京都の方がいいところじゃない。」

 ふむ。そういう意見もあるらしい。コチラからすれば、イタリ

 アも良いところだと思うのですが。。

 では、私達はイタリアに何を期待するのでしょうか?ピザ。パ

 スタ。ワイン。コロッセウム。ピサの斜塔。ベネチア。ゴンド

 ラ。陽気な人々。ながーい食事。サッカー。などなど。

 はてさて、イタリアとはなんぞや?と改めて考えた時、各々が

 イメージするイタリアには幅があると思います。

 そのイメージこそがイタリアなのか、どうなのか。

 そんな話しに関係あるような、ないような今回のコラム。

 それではどうぞおたのしみください。
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■二つの数字

 今回は、とある二つの数字を知って考えてみたことをツラツラ
 と書いてみたい。

 一つ目の数字。47歳。

 さて、何の数字か。まあ、単位が書いてあるので、年齢だとい
 うことは恐らく大概の人なら予想がつく。

 答えは、京都市民の平均年齢。

 江戸時代の平均寿命並みに高い。いや、江戸時代の平均寿命を
 具体的に知っているわけではないが、ネットで調べると30代
 とも40代とも書かれている。なので、遠からず。近からず。

 二つ目の数字。僅か数パーセント。

 さて、何の数字か。というか、数字にすらなっていないが、単
 位がパーセントなので、何かの割合だということは大概の人な
 ら予想がつく。

 答えは、京都市内に於ける築50年以上を経過した建物。の割
 合。

 なんとなくではあるが、思っていた数字より少ない。

 この二つの数字。単純に考えて、京都に於ける京都市民の平均
 年齢以上の建物は、ごく僅か。ということ。

 建物の寿命は、人間よりも遥かに長い。というのは、ごく僅か
 の建物に関してのみ言えること。という事実になってしまう。

 逆に、90パーセントを越える建物が、50年も建っていない
 /経っていないという事実。古都と呼ばれる京都に於いてさえ、
 そのような状態。推測するに、日本全体に於いても同様のこと
 が言えると思う。そして同時に、実は京都の町並みって古いわ
 けではない。ということも。

 それでは、更新され続ける京都という都市が、「京都」と認識
 されているのは一体何に拠るのか。

 神社仏閣か。伝統産業か。自然風景か。年中行事か。

 言い換えると。

 清水寺か。金閣寺か。西陣織か。清水焼か。鴨川か。嵐山か。
 祇園祭りか。時代祭りか。

 確かに全て京都である。
 確かに全て京都にある。

 上述したモノやコトは、脈々と受け継がれてきた建物であり、
 産業であり、風景であり、風習である。

 では、それらさえ残れば京都なのか。

 他にも、京言葉。とか。京料理。とか。茶道。とか。「人」が
 受け継がなければ残っていかないものもある。

 残す。残さない。の選択は、誰がするのか。

 個人なのか。民衆なのか。企業なのか。行政なのか。

 残す。残さない。の基準は何なのか。

 古さなのか。稀少さなのか。独自性なのか。大衆性なのか。

 自然と残ったものが京都なのか。
 努力して残そうとしたものが京都なのか。

 今、京都では様々な議論や方向性の検討が成されている。既に
 結論が出た内容も含めて、ツラツラと挙げてみる。

 一つ目。前川國男という近代建築の礎を築いた建築家の設計に
 よる、京都会館という建物を残すのか残さないのか。

 二つ目。京都のメインストリートでもある四条通りを4車線か
 ら2車線にするのかしないのか。

 三つ目。市民レベルで、今後残していきたい建築や庭園のリス
 トアップ作業の取組み。

 四つ目。既存町家などのうち、景観重要建造物を対象に、増改
 築時に現行建築基準法摘要除外の条例作成。

 一つ目は、残すのか残さないのか。

 二つ目は、どう変えていくのか。

 三つ目は、何を残していくのか。

 四つ目は、どうすれば残していけるのか。

 そんな議論が京都では起こっている。

 築50年を越える建築物は、京都市内に於いて、僅か数パーセ
 ント。

 数パーセントの議論も大切である。
 残り90数パーセントの議論はもっと大切である。

 これらを同時並列的に扱う必要がある。と思う。

 何を残していくのか。
 何を創っていくのか。

 この両輪が、未来の京都をつくるのだと思う。
 

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■京都市内の建設投資割合は、住宅30%。河川・道路25%。

 オフィス・店舗12%。文化財保護10%という感じ。

 つまり、古いものを残すために使われる費用は10%です。

 この数値からも新しいものに掛けられるお金が90%である

 ことが分かります。
 
 新しいものをどう創っていくかが重要であることもまた、わか

 ります。
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 京都って古いね。
 京都って新しいね。

コラム | by muranishi | comments(0)

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