空間工房 一級建築事務所

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11.09.22 Thursday

売れるお店のつくりかた

■前回、タブレットの通信手段のところで話しが終わっており

 ました。結論としまして私が選択したのはUQのWIMAX

 という通信手段です。2年程後にはWIMAX2が主流と

 なる予定で、今でいう光回線とほぼ同程度になるとのこと。

 他社ですとイー・モバイルのポケットWifiもありましたが。

 そして最近ではドコモがLTE回線を使ったタブレットを

 発表するとのこと。これは、Wifiの5倍の通信速度とされて

 おりますので、少し魅力的です。ま、要するに横文字だらけ

 でなんのこっちゃ。という話しです。

 さて、今回はそんな前フリとはまーったく関係のない建築的

 なお話しを久々にいたします。

 それではどうぞおたのしみください。

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■売れるお店のつくりかた

 非常に怪しいタイトルである。三流の本のタイトルのようでも
 ある。でも、ひょっとしたら本当のことが書かれているかもし
 れない。

 売れるお店のつくりかたを知るためには、景観の基礎を知る必
 要がある。え?マジで?!・・・マジである。

 景観とは何か?明確に答えられる方は素晴らしい。答えられな
 い方のために定義をお教えする。

 景観とは「見るコト」である。もっと詳しく言えば、見るとい
 う行為そのものを景観と呼ぶ。

 え?マジで?!・・・マジである。

 見る「モノ(対象・風景)」などではなく、見る「コト」が景
 観。ここが押えられていないと、景観論争などという事態に陥
 ったり、挙句の果ては答えのない「この建物好き嫌い論」に発
 展する。

 いきなり「何言ってんだ、この人」みたいな空気が流れている
 ことは百も承知である。が、続ける。

 人は目に映る全てを平等に見ていない。何を見ているか。答え
 は2つ。「見たいもの」と「見やすいもの」。

 さらに「見たいもの」の中身も2つ。「自分が興味を持ってい
 るもの」と「理解の手掛りとなるもの」。この後者が重要。

 人は常(無意識)に理解しようと必死になっている。目に映っ
 ていることが理解できないと、車にはねられたり、動物に襲わ
 れたりする危険性がグンと増す。なので、景観(見るコト)は
 生命にも関わる。極端だが、一つの事実でもある。

 そして、見やすいものとは「邪魔がなく」「程よい大きさで目
 に入ってくるもの」を指す。

 「程よい大きさ」とは、視界の10°~20°を占める大きさを指
 す。片手を前に突き出し、「グー」の範囲に入るのが10°。
 「パー」の範囲に入るのが20°。

 総括すると、良い景観とは「見たいものが見やすい状況にある」
 ことを言う。そこに「好み」や「センス」が入る余地はない。
 10人居れば10人共が共有できる客観的な尺度となる。

 なので、これを読まれている貴方が「字が小さくて読みにくい」
 と感じれば、それは「景観が悪い」のであり、文章表現の良し
 悪しには全く関係しない。文章表現の良し悪しは景観ではなく、
 好みやセンスの問題だから。

 これで、景観の何たるかを理解できたものと仮定する。そして
 次の段階へ移る。何せタイトルが「売れるお店の・・」なので、
 そこまで辿りつく必要がある。

 述べてきたように、景観とは人間が「見るコト」なので、「何
 を見ているか」「何処を見ているか」「見たものをどう理解す
 るか」が分かっていないと、景観を語れない。景観とは紛れも
 なく、「見る側の人間」に起こっている現象であり、「見られ
 る側のモノ」に起こっている現象ではない。

 さらに、私達は私達に起こる景観という現象によって、身の回
 りの多くを理解し、評価し、行動の判断をしている。つまり、
 景観で人間は多くの判断をしている。なので、景観は非常に重
 要なのである。

 では、景観を良くするにはどうすれば良いか。

 良い景観とは、前述した通り「見たいものが見やすい状況にあ
 ること」である。ということは、見たいものが見にくい状況に
 あるならば、それを改善していく必要がある。

 見る場所のことを「視点」と呼ぶ。視点からの見え方が素晴ら
 しければ、それを「良い景観」と呼ぶ。そして、その「視点」
 周辺も整備する必要がある。なぜなら、「見たいものが見やす
 い状況にある」としても、視点の場がゴミ溜めであっては、評
 価はダダ落ちである。それは人間が「遠く」よりも「近く」を
 過大に評価する性質があるからである。なので、見せたいもの
 と視点の場はセットで計画する必要がある。これを景観計画と
 呼ぶ。

 人は目に見えないことを評価しない。それは、評価しようがな
 いからである。なので、見た目が重要。まあ、対人間の評価は
 中身も重要なのかもしれないが。。

 そろそろ本題に入る。

 人は景観で評価し、行動の判断をしている。決して建物単体で
 評価しているわけではない。のである。誤解があるといけない
 ので、念の為断っておくが、良い建物(歴史性・意匠性など)
 と良い建物景観(もてなし)は違う。

 景観という観点からいくと、目に触れる/映るものが、私を
 「迎えてくれているか」「楽しませてくれているか」「配慮し
 て丁寧に設えてくれているか」といったホスピタリティ=おも
 てなしの表現が非常に重要といえる。

 例えば、オープンテラスのように扉を開放して「迎え入れる」。
 庇やオーニングを出して「迎え入れる」。石畳やタイルを敷い
 て「迎え入れる」。植栽や生け花で「楽しませる」。ショーウ
 ィンドウに飾りつけをして「楽しませる」。のれんなどを配し
 て「丁寧に設える」。照明器具を適度に配して「丁寧に設える
 」。手書きのメニューなど温もりを感じるもので「丁寧に設え
 る」。掃除が行き届いており「丁寧に設える」などなど。目を
 楽しませ、喜ばせ、脳に評価して貰う。そして、アルミ製の建
 具よりも木製の建具が断然良い。このようにすると少なくとも
 人は好印象を持つ。そして上手く行けば、売れるお店になる。

 そんなに上手く行くかね?と思われた貴方。今度、売れるてい
 るお店をジックリ観察して欲しい。安い、うまいだけではない
 「何か」がそこに隠されている、かもしれない。

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■編集後記

 京都市景観エリアマネジメント基礎講座という講座が開講され

 ました。京都市文化財マネージャーはどちらかというと「個」

 をどうしていくか?といった「点」的なものに重点をおいた

 ものでしたが、今回は「景観」という「面」的なものを考える

 内容です。

 本文の内容はその講座の一部を自分なりの解釈でまとめたもの

 です。因みに講師は東大教授の堀繁さん。銀山温泉を町興し

 したり、景観計画の業界では知る人ぞ知る方です。

 本文以外にも色々と目からウロコ的な話しが満載でした。
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 実は売れるお店に一番重要なのは「サクラ」です。
 如何に多くの人が滞在してくれる環境をつくるか。
 それは、「まち」でも同じことが言えるのです。

コラム | by muranishi | comments(0)

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