■おはようございます。
空間工房 用舎行蔵 です。
前回・前々回と「部屋の広さは何に比例するか?」について
書いてきましたが、今回はその最終章です。
答えが出るのか、出ないのか。
設計事務所の視点から。どうぞおたのしみください。
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■部屋の広さは何に比例するか?(3)
それでは早速、最後の仮説・自問へ・・
自問5:外部環境に比例する?
自答5:部屋の広さが外部環境に比例するとは、なんとも大雑把
な仮説だと自分でも思う。。
最近、とある現場で感じたことから少し。
病院の改修工事をやっていて、2階の一角にトイレを配置し直し
た部分がある。
その一角は外から覗かれる恐れがない場所で、2面を窓に囲まれ
た空間。
窓の外には間近まで迫った木々の緑が顔をのぞかせている。
病院のトイレということもあって、車椅子対応の広い空間。おお
よそ2帖近くはある。
とにかく広い。というか、広く感じる。
2帖という広さは、普通の部屋で考えれば、明らかに狭い。にも
拘らず、広い。というか、広く感じる。
そう、かなり大きな開口が、外部に面して2面も開いているから
だと思う。
間違いない。
つまり、開放的であるが故、実際の広さよりもより広く感じるの
だと思う。
外部環境に比例するとは、開放性に比例するとも言えるかもしれ
ない。開放的であればあるほど、その空間の広さは狭くても「広
い」と認識してしまう。
設計をする時、お施主様のご要望を伺う。
その時「リビングは○帖以上欲しい」という内容が少なからずあ
る。どうしても物理的に必要な大きさ・広さというものは確かに
ある。それが、帖数という共有尺度で情報を整理するというのも
至って間違いのない方法だと思う。
でも。
その数値は開放性とは無縁の尺度だと常々思っている。
「光の入り方」一つで、同じ広さでも、感じる広さは全く違って
くる。
上からの光なのか、横からなのか、下からなのか。。
窓の外に広がる風景は、見せるべきなのか、閉ざすべきなのか。
はたまた、どの方向に向かって、開口を開くべきなのか。。
そんなことを意識しながら、決して物理的広さのみを求めるので
はなく、感覚的な広さを意識して、設計に取組んで行きたい。
部屋の広さは、果たして何に比例するのか。
その答えは、各個人の感覚の中に存在しているのかもしれない。
以上「部屋の広さは何に比例するか?」の思考内容でした。
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■編集後記
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
「部屋の広さは何に比例するか?」という問題。
結局のところ、答えは見出せていません。
ただ、広ければよい。大は小を兼ねる。といった単純な事象
で「部屋の広さ」が決まるわけではないと思います。
狭くても快適な空間。広くても不快な空間。
あると思います。
家を建てるとき、部屋の広さにこだわらず、色々な観点から
「部屋」のあり方を考えることで、快適でありながら他では
みられない特徴ある空間が出現するかもしれません。
限られた土地の中でも可能性は無限大です。
設計者はプランを考えるとき、内部だけを考えるのではなく
少なからず外部との関係にも注目しています。
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