今日は、今年12月で築10年を迎える大阪市H邸に寄せていただいた。
私たちの処女作である。
勤めていたころから相方と共同で部屋を借り、
夜な夜な疲れた体に鞭打って設計作業に打ち込んだ、
そんな非常に思い入れのある物件である。
久しぶりに訪れてみても感慨深いものがあり、
お施主様とも思い出話しに花が咲いた。
今回は築10年ということもあり、
外壁面の清掃を主にメンテナンスされたいとのご意向を伺っていたため、
業者さんにもお越しいただき、見積りの下調べを行った次第である。
とても10年経つとは思えないほど大変きれいな状態であったため、
外壁石張り部分の白華現象やガラス面の汚れ落とし、鉄部・木部の再塗装、
床タイルの清掃などを行うのみとなった。
この10年でお施主様にとって大きく変わったことの一つに、
ご主人がお仕事を引退されたことがある。
そのため、家に居る時間が今までとは比較にならないほど増えたそうだ。
改めてこの家の良さを発見したり、居心地の良さに気付き、
今一度家をきれいにしたいと思えたと仰っていただいた。
そうそうメンテナンスにお金を掛けられるものではないが、
こうして家を大切にしたいと思っていただけることはとてもありがたいことである。
家とは生き物であると思っている。
手入れの如何によっては家の寿命は長くも短くもなる。
思い入れを持てる家を造るお手伝い。
それが私たちの仕事の大きな役割のひとつと考えている。
もちろん、メンテナンスの掛からない工夫や材料を用いることも大切であるが、
手を掛けなければ家も応えてはくれない。
家は本当に生きている。
それだけは確信している。
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