棟札を確認しますと、昭和12年6月の記載がございました。
戦時下を潜り抜け、ご家族の想い出がそこかしこに詰まった京町家。
いわゆる鰻の寝床的な京町家とは異なり、間口も奥行きもゆったりとした
敷地に建つ、お屋敷的な町家です。
最初にお出会いしたときは、まだ建替えかリノベーションかも決めかねられていた
ご様子でした。
ただ、玄関部分と応接室は残されたいということだけは決まっておりました。
建物に入る前から趣深い印象でした。玄関は勿論、居間へ通される際の廊下も
味わい深い雰囲気があり、これは新しい基材などでは醸し出せない味わいだと
感じました。
結果、リノベーション一択でのご提案となりましたが、建築当時の雰囲気を
残しつつ、生活拠点となりますリビング空間を庭が臨める日当たりの良い位置に
置き換えることで、現代の生活にも十分に対応出来る空間に仕上がったと思います。
余談ですが
お施主様と私が学生時代の先輩後輩。ということが初期段階で判明。
しばらくしまして、子供同士も先輩後輩。
というのが判明した時は、運命を感じました。
これから新たな歴史が重ねられて参ります。
その歴史の一頁に携われましたこと、感謝申し上げます。
敷地面積:493.22㎡(149.19坪)
延床面積:273.99㎡( 82.88坪)
構造規模:地上2階/木造
施工会社:株式会社竹内工務店